2012年5月21日月曜日

「つけ麺 坊主」訪問 「特製らーめん」 五月晴編

 天気がいいのでラーメンを食べに出かけた。

行き先はもちろん水戸の「つけ麺 坊主」。前回の訪問は3月下旬のことだったから、じつに丸2ヶ月ぶりの訪問。長かったなあ。
じつはその間に2回ほど、お店の前までは行ったのだ。
しかし一回目は、あいにくの休業日。二回目は、昼時で当然のことながら満席。その後予定があったため、やむなくパスしたのだった。縁が薄いなあと嘆いた。
ちなみに休業日のときは、エクセルの「つけ麺TETSU 壱の木戸」に行ってみた。前から気になっていた評判の店だ。
豚骨魚介のスープもストレートの固めの麺もたしかに美味しかったが、私には行列してまで食べるほどのものとは思えなかった。
初め珍しいうちは混むかもしれないけど、だんだんマイムの「青葉」と同じような運命を辿るのではないかと思うな。

それはともかくとして、今回の「つけ麺 坊主」だ。2回ふられているから、近づいていって店の前ではためいている「超激辛」ののぼりが見えたときはほっとした。無事開店しているぞ。
店に入ろうとすると、自動ドアがセンサー式からタッチ式になっている。たしかに以前はこのセンサーが、今ひとつ調子よくなかった。これで快適にはなったが、直すのにお金かかったんだろうな。店を構えてるとたいへんだな、なんてことを思った。

土曜日の11時15分、先客2人、後客2人。
券売機に向うと迷わず私の定番「特製らーめん」と「白めし」と「ビール」のボタンを押す。
12席あるL字型のカウンターの両端には先客がいたので、中ほどに座る。水を持ってきたご主人に麺とめしの量は「普通盛りで」とお願いする。
休日の昼前。のんびりとした空気が店内に漂っている。

扇風機の前に座ったので涼しい。
先客の一人は、つけ麺系と一緒に「親父めし」を食べている。「親父めし」というのは、皿に盛ったご飯の上に、この店の売りの麻婆豆腐と、もう一種類、肉野菜炒めとをいわゆる合いがけにしたもの。私もこれまで2,3度食べたことがある。間違いなくおいしくて私は大好きだ。
しかしながらヴォリュームがるので、ラーメン系のメニューと一緒に食べるのはなかなかきつい。何しろ私はラーメンの場合、スープまで完食する主義なので。つけ麺系となら何とかいける。

相変わらずてきぱきとしたご主人の段取りを眺めながらビールを飲む。久しぶりの「坊主」なので、いよいよ期待は高まる。
麺茹で二分半。ジャストで麺を上げ、しゃっきりと湯切りして丼へ。雪平のスープを手早く麺の上にあければ、もういい形ができている。トッピングをぱっぱと散らして出来上がり。さっと自分の前に運ばれてきた。

久しぶりに目の前にするそのお姿。丼のスープの表面には、赤い脂の層が渦を巻いている。丼の中央に盛り上がるもやしと豚バラ肉の小山が壮観。そこに魚粉と刻みネギがパラリと。
さて、まずいつものようにレンゲでスープをすくってひと口。アツッ。いつものとおり脂が旨くて甘い。そのあとから辛さが来る。でも今日はたいしたことないな。ふた口、三口、四口…、十回くらいすくっては飲んで、やっとご飯を一口。
最近の自作ラーメンは、ウェイパー・ベースなので、鶏ガラ・スープがあらためて美味しい。以前も感じたことだが、味に奥行きがあってまろやか。とてもまねができない。

それからおもむろに麺をほぐしにかかる。麺は意外とからみあっている。テボから丼にあけたあと、箸で麺をひとさばきしてくれるといいのでは。
中太ストレートの麺は、私の好みのど真ん中。この麺ともやしを少しずつすする。が、あまり強くすするとむせるので注意。もやしのしゃきしゃき感がほどよい。ときどき豚バラをかじり、スープを飲んでは、ご飯で「口直し」をする。

「坊主」のラーメンのスープは、塩分が控えめだ。ネットのあるレヴュワーは、この塩気の薄さを、何かを入れ忘れたのではないか、といぶかしんでいたほどだ。たしかに、一般のラーメンのスープと比較するとかなり薄味かもしれない。でも、このスープの辛さと旨さを存分に味わうためには、ちょうど良い塩加減になっていると思う。だから私はスープはいつも完食だ。
で今日も、麺を食べては、どんどんスープも飲んでいく。今日の出来は、いつもよりちょっとあっさりめかな。いつもほどの辛さも感じない。私の体調が良いせいか。それとも悪いのか。

しかしいつものとおり、だんだん鼻水は出てくる。そして、やっぱり徐々に無我の境地へ突入。至福のひとときがやってくる。
気がつくと、いつのまにか麺を食べ終わり、丼を両手で抱えて最後のスープをひとすすりしている。ああ今日も旨かった。
だが今回は、扇風機が近いためかあまり汗はかかなかった。大汗をかいてすっきりするのも気持よくて好きなのだが。
お腹も満腹で満足だが、心も満足している。肉体的に満足するのとはべつの精神的な満足。この心の満足というのが、他の店ではなかなか味わえないのだ。

考えてみると、私にとって、待ちながらビールを飲み始めるところからもう「ラーメンを食べる」という事が始まっている。店内を見回したり、期待が高まってきたり…、そして実際に食べ始め、食べ終わるまでの店内でのすべての出来事が、私にとっての「ラーメンを食べる」ということなのだ。その全体が私を満足させてくれるとき、お腹だけでなく心も満足するのである。そういう店はなかなかない。単に美味しいものを食べさせる店はあっても。

店を出て例によって千波湖方面に向かう。以下は、食後の散歩の報告。
線路沿いに歩き、千波大橋の下をくぐり、梅戸橋を渡ると桜川にかかる芳流橋のたもとに出る。いつもはこれを渡って千波湖のほとりに出るのだが、今日は渡らないで桜川の左岸を歩いていくことにする。
桜川ごしに望む千波湖の風景もなかなかよいものだ。常磐陸橋を右に見てから、偕楽橋の下をくぐり田鶴鳴橋の下をくぐると偕楽園の拡張部だ。

土曜日なのに園内にはあまり人影がない。広々とした空間をひとり歩いていくのは何とも気持ちがよい。拡張部をぐるっと四分の三周ほど歩いた。
そこから蛍橋のたもとの木道に入る。そこまでの広々とした空間から、一転して涼しい樹幹の間を縫って歩く。そこから国道をわたって、少年の森に抜ける。樹木の間に芝生の広場が、ぽかっと開けている。ここにもほとんど人影がない。心も静まるひと時。
森の奥の階段を降りて再び千波湖畔に出た。
帰りは千波湖の北側のほとりを歩いていく。湖面を渡ってくる風が清清しい。途中湖畔のベンチで一休みしてから水戸駅に戻った。

五月晴(ごがつばれ。「さつきばれ」と読むと梅雨の晴れ間のことで違う意味になる)の下を、満たされたお腹と心で、約2時間の散策。歩数では1万3千歩。とってもぜいたくな時間を過ごせた。
このぜいたくな時間も含めて私にとっては「ラーメンを食べる」ということにしたいな。


0 件のコメント:

コメントを投稿